「新潟県中越地震」に伴う文化財の被害状況について(2)
平成16年10月23日に発生した新潟県中越地震による文化財の被害について,斉藤優介氏(燕市産業史料館学芸員)からのご報告を掲載いたします。
11月1日(月)
十日町市へ。被災地を大きく迂回するため燕市から国道116号線を使い、国道8号線を経由して柏崎市内へ。柏崎から国道252号線にて十日町方面へ。途中、道が陥没しているため物理的に通行不可。さらに迂回路にて国道253号線を経由して十日町市内へ。
十日町市内は、復旧が比較的早く感じられた。しかし、多くの鉄筋ビルは震災による、ひび割れ、壁面の剥落が見られた。
十日町市博物館
午前11時頃着。
震災の被害は、展示品、建造物、排水管等被害にあったそうである。国宝被害状況は62点中、全壊~50%以上破損は10点だそうです(10月24日調査)(写真1、2)。国宝の土器は免震台に展示されていたが激しい縦揺れにより転倒。破損となった。応急措置は文化庁の指示を仰ぎ10月28日午前に完了。10月28日午後には文化庁文化行政課職員が現状確認のため来館。
民具資料は、展示場所から落ちたりしたが、大きな被害は無かった模様。
建物の壁の亀裂他、床の繋ぎ目のズレ(写真3)。収蔵庫のアングル(棚)の変形(アングルは調査後破棄の予定)(写真4)。展示室復元された農家の柱と壁の剥離(写真5)。現在、十日町博物館は復旧作業中。11月9日(火)開館を再開予定。
市内の他の文化財は、所有者から被害の報告はあるが、館内の対応におわれ、博物館職員による確認はまだ行なわれてないそうです。
写真1:国宝縄文土器。報道機関向け写真(十日町市博物館博物館提供) | 写真2:国宝縄文土器。報道機関向け写真(十日町市博物館博物館提供) |
写真3:床の繋ぎ目のズレ(十日町博物館の新館と旧館の繋ぎ目のズレ) | 写真4:収蔵庫のアングル(棚)の変形。写真では見づらいが、アングルが斜めに変形。危険な状態 |
写真5:展示室復元された農家の柱と壁の剥離。約1cm程の剥離 |
小千谷方面へ
次に国道117号線を北上し、小千谷市方面へ、117号線はもともと街道でもあることから、国道周辺に神社等が多くある。一箇所立ち寄ってみたが、被害状況は深刻。
(写真6、7、8、9、10)
写真6:国道117号線沿いの神社 | 写真7:神社参道。大きく崩れ危険 |
写真8:神社鳥居。石造の鳥居も崩壊し原型をとどめていない | 写真9:神社基礎。神社は大きく北にズレている |
写真10:灯ろう、狛犬は倒壊 |